これまで日本に一時帰国する時は、都度、切符を購入していました。新幹線の場合は、のぞみ。私鉄は主に近鉄と地下鉄利用だったので、プリペイドカードを買うことが多かったです。
今回は、少し長めに滞在できるのと、いつもと違う場所へ行ってみようということで、通常よりもJRを利用する機会が増える見込みでした。ざっくりトータルの電車賃とJAPAN RAIL PASS(JRパス)の料金を比較してみたところ、JRパスを利用した方が少し節約できそうだったので、買ってみることにしました!
今まで見向きもしなかった理由
JRパスを今まで使おうとも思わなかった理由は、「のぞみに乗れないなら、いらないかな…」という単純なものです。東京へ行くのに、のぞみ以外に乗ったことがなかったので、それ以外を考えたこともありませんでした。他はものすごい遅いと思っていたのと、ひかりの存在を忘れていたのもあります。
今回の旅行は、宿泊代がビックリするぐらい高くなったので、「これはマズイ…」と細かく予算を立てつつ、きっちり旅計画を練ってみたら、のぞみとひかりとでは、東京ー名古屋間は気にするほど時間の差がないことが発覚!
本数はびっくりするほど違いますが。
時間はそんなに変わらないということで、今回初めて利用することになりました。
JRパスとは?
簡単に言うと、「海外から来日した観光客が使えるお得なパス」です。ただ、それには複雑な条件(海外在住日本人に対して)もあります。
調べてみると、日本国内では色々批判も多いようで、賛否両論あるチケットということが分かりました。その主な批判は安すぎる金額に向けられているのですが、鉄道ファンだとパスを使い倒して元を取ることができるかもしれませんが、そんなに電車に乗り続けない旅行者だと、元が取れるかどうかは路線、距離や旅程によるので、微妙だと思います。それに多分そんな事を考えて使ってる人は少ないような気もします。
そんなJRパス、海外在住日本人には購入するために特別なルールがありました。
JRパスの利用資格:全員が買える訳ではない
うっすらと「外国人なら使える」ぐらいの印象しかなかったのですが、日本に住んでいないのなら、私も使えるんじゃ?と思ったのがきっかけで、色々と調べてみることになったJRパス。
今回分かったことは、予想以上にしっかりとしたガイドラインがあったということです。ビックリしました。ただ、お得なチケットなので、当然といえば当然かなとも思いました。
遅延や運休が少ないこともそうですが、とにかくあの清潔感。椅子に座る前に隅々まで確認しなくても大丈夫なのは感謝しかないです。
調べたところによると、以前は条件が緩かったそうなのですが、2023年9月時点では、日本人の場合、海外での在留期間が連続10年とそこそこの長期間滞在であることが必須です。
日本人 | 外国人 | |
ざっくりと対象者 | 海外に居住する日本国籍の日本人 | 観光で来日する外国籍 |
来日目的 | 特に記述なし | 短期での観光 |
条件 | 日本のパスポートを持っている + 在留期間が連続して10年以上であること | 観光での短期滞在者(15日間か90日間) |
入国時の注意 | 特に記述なし | 短期滞在のスタンプかシールが引換に必須 |
在留期間が連続して10年とは、けっこうな長期間です。
外国人に対しては、説明書きから想像するに短期滞在には2種類あるような感じです。15日間か90日間、これは入国する時に担当によって変わるのか、国ごとにすでに決まっているのか…私には分かりません。すみません。
私はやっと在米10年を超えたところだったので、去年だと使えなかったみたいです。
JRパスについて調べていたときに知ったのですが、どうやら日本人には発行しないよ!という方向で一時方針が定まっていたそうで…。(私が読んだ記事はこちらです→『JRパス「在外日本人は使用不可」撤回の舞台裏』By 東洋経済)
今回、私が購入できるのも、この販売中止・再開のドタバタから2025年12月末日までは、日本人でも購入できるように一時的に延長されたためのようです。
そんなしょっちゅう日本に行くこともないので、こんな話がされていることさえも全く知りませんでした。上記の記事を読んだ感想としては、どちらの言い分も理解できる、という感じです。ただ、「困ります」の理由がちょっと個人的な事情すぎるかな?とも思いました。それから、「それは観光ではなくて、仕事の一部ではないのかな?」という意見も入っていたので、このあたりは同じ日本人でも、モヤっとした感情を持ちかねないな、と思いました。
私は今は海外に住んではいますが、場所が日本だろうと海外だろうと、こういう特典的なものは、あれば使う、なければ仕方ない、くらいのものだと思っています。
でも、日本人に販売を中止しようと思った理由を知りたい!
海外からJRパスを購入するには
これもビックリです。
まさかの日本人だとオンラインで買えない。日本人であることが不利!
外国人に「おもてなし」イメージを売りたいのは理解しますが、この区別は意味が分からない。日本人へ売ることに注意を払っているというメッセージとして受け取りました。
外国人であれば、オンラインで購入が可能、そしてJRパスのオンラインで購入すると、同じようにオンラインで事前に座席指定もできるおまけつき。日本国内でも2023年9月末までは購入できるそうです。
しかし、日本のパスポートを持っている私は、これが使えない。
海外のJR指定販売店・代理店で購入することができます。というか、これしか方法がありません。
アメリカの場合だと、下記の代理店で購入が可能です。
代表的な代理店の一覧です。他にもありますので、詳細はコチラで確認してください!
オンラインで購入した場合は、オンラインで事前に指定できますが、そうでない場合は、引換証は購入できても、指定席は日本に到着してからでないとできないようです。
ひかりの本数が少ないところが引っかかりますが、入国後に無事に希望の時間で指定席が予約できることを期待するしかない!
そもそも、ひかりに乗る人は今どのくらいいるのだろう…?
料金
2023年9月の時点での料金です。
おとな(普通車) | こども(普通車) | おとな(グリーン車) | こども(グリーン車) | |
7日間 | 29,650円 | 14,820円 | 39,600円 | 19,800円 |
14日間 | 47,250円 | 23,620円 | 64,120円 | 32,060円 |
21日間 | 60,450円 | 30,220円 | 83,390円 | 41,690円 |
料金表のページはコチラから
たしかにものすごくお財布に優しい設定です。それでも、私のように毎度単純に実家に帰り、そこを拠点にちょこっと旅行に行く程度な感じだと、普通に切符を買ってもあまり差はありません。
それから、利用開始日を決め、そこから◯日間という縛りがあるので、実家を拠点に今週はココ、来週はアッチみたいに自由に旅行日程を組めないというのも難点です。でも、そもそも日本人の一時帰国や帰省を対象にした商品ではなく、「短期滞在で観光目的の外国人」のためにある商品なので、こういうものだと思います。
JRであればパスだけで乗車できるので、「何線でいくら分買わないといけないのか」と、いちいち考えないですむことが最大のメリットだと思います。
10月からは値上がりした新料金です(下の表参照)。その分、のぞみにも乗ることができるようになるので(別途利用料が必要)、だいぶ高くなった感はありますが、滞在中に何度も電車を利用するという予定であれば、お買い得?
おとな(普通車) | こども(普通車) | おとな(グリーン車) | こども(グリーン車) | |
7日間 | 50,000円 | 25,000円 | 70,000円 | 35,000円 |
14日間 | 80,000円 | 40,000円 | 110,000円 | 55,000円 |
21日間 | 100,000円 | 50,000円 | 140,000円 | 70,000円 |
新料金の確認ページはコチラから
7日間で5万円分を使おうとすると、けっこう乗らないといけません。東京大阪の単純な一往復では普通に切符を買った方が安いです。料金分利用するには、どれくらい乗る必要があるのか調べてみました!
東京から大阪へ行き、その後、博多方面へ。帰りは、博多から東京まで途中下車なし、という旅程で都度切符を買うというプランだとこんな感じです。(新幹線以外のちょこっと乗りの分は入れていません)
7日間の利用期間中に、東京ー大阪ー博多まで旅行して、これでようやく合計が52,470円(都度払い・ひかり利用)となって、JRパス7日間分の料金5万円を超えました。けっこう乗らないといけない、しかも7日間で。これだと飛行機の方が安いかもしれないです。また、JRパスを使って、のぞみに乗るには別途料金(それぞれの区間でのぞみ利用料がプラス5,000円〜)が発生するので、のぞみを使いたいなら、上記の例でいくと乗車の都度、切符を購入した方がはるかに安いです。
JRパスを使ってのぞみを利用する場合の追加料金については、こちらのページ(新幹線「のぞみ」号・「みずほ」号の利用)でご確認ください。
そもそも外国人でこんな弾丸旅行をするのは少数派だと思っていたのですが…。最近は多いのかな?
ざっくりと計算しただけなので、なんとも言えませんが、金額的にも時間的にも、飛行機で国内を移動するべきか、新幹線に乗るべきなのかを事前に比較した方が良さそうです。たまにビックリするくらい安い国内線のエアチケットもあるので…。新幹線はいつ乗ってもそれなりに混雑しているので、値上げの狙いは、旅行者は飛行機も使ってくれっていうことなのでしょうか?それとも、不正利用を防ぐため?それとも、単純に物価に合わせただけ?
過去、バックパッカーが流行った頃に出した商品で、バックパッカーが減少し、普通の観光客が増えたので、それに合わせて料金の調整をした感じとか?
と、ここで疑問がうまれました。
これまで新幹線を利用しても、プラットホームや窓口が外国人で溢れかえっている状況は個人的には見たことなかったのですが(利用駅が名古屋と品川メインだから?)、なぜ今、値上げ?
良かれと思ってやっていたサービスが変更になるときは、採算が合わないとか人気がないとか、なにかしら理由があると思うのですが、まさか…日本人への販売を中止しようとしているところから考えると、そもそもの原因は日本人の利用方法がダメだったのかしら?
もしかしたら、ほとんどの人は純粋に旅行で利用しているのに、中には、出張で使っていて、JRは「旅行で使ってくださいね!」と売り出しているのに、本来の目的とは違う使われ方をしていたから、このあたりの締め出しなのかしらと思ったり。
日本人に対しては来日目的として「観光」とも明記されていないし、日本のパスポートを持っている限り、日本へは「帰国」になるので、各個人のモラルに任せてある感じでしょうか。
と言いつつも、JRパスのサイトでは、『ジャパン・レール・パスは外国から日本を観光目的で訪れる方のみが購入できる特別企画乗車券です。』と宣伝はされているので、基本的には外国人に向けてのサービスで、日本人に対しては、在留期間を設けることで、「ほぼ外国人だよね」という日本人を対象にしているのかな、とも思います。
【2023.10.7追加】新料金で心配なこと
新料金になって、ただの利用者の1人でしかない私ですが、「ちょっと心配…」と思うことが今のところ1つあります。
それは…のぞみ・みずほ追加料金支払い時のトラブル、です。
のぞみ・みずほ追加料金の説明を窓口でどれくらいハッキリするのか、パスに引き換えたあとのチケット(?)に目立つように記載するのか分かりませんが、「ハッキリ書いてないのが悪い」とか「説明の意味が分からない」「聞いてない」とかは普通に言われそうな気がします。
そうなった時に、気の毒だな…と思うのは、現場で対応するだろう従業員の方々。そうならないように、サイト上でもっと目立つように周知した方がいいんじゃないかなと思います。
JRパスを買ってみました、あとは使うだけ!
今回、初めてJRパスを使うことになり、色々なことを調べたり読んだりしましたが、「旅程にゆとりがあり、比較的臨機応変に時間を変更できる人向けで、さらに複数回新幹線に乗ってようやく意味がある優待パス」だと思います。
私が購入したのは、ANA Sales Americasからです。ちょっと疑問に思ったことがあり電話をしてみたら、とても丁寧に答えてもらえたので、サービスに感動したので購入に至りました。
ぶっちゃけると、他の代理店よりちょっとお高かったです。それでも、ものすごく感じのいい対応だったのと元々ANAが好きなので、購入しました。
JRパスはANAセールスのオンラインで購入しましたが、日本人の私は、途中で在留期間が10年以上であることを証明できる書類をアップする必要がありました。私の場合は、グリーンカードで申し込みをしました。申し込みが終わると、別途支払い専用のサイトがメールで送られてきて、支払いをするという流れでした。引換証はFedExですぐに届きました!
次は、この引換証を持って入国し、ちゃんと使えるパスに交換です。ドキドキ。