日本もほぼ洋式が標準になっているので、アメリカやカナダでも、トイレを使う分には全く問題はないのですが、細かなところで「なぜそうなる?」と思うことは多々。
使用面以外では、販売でも日本とはやや違うセールスポイントだな…というところもあります。
最近、賃貸契約書を読んでみたら、面白いというかそこまで言わないとダメなのか…と多国籍国家ならでは?と思った注意事項一覧を発見したので、トイレをテーマにしてみました。
外出先のトイレはこれまた違うので、ここでは家にある一般的なトイレがテーマです。
アメリカのトイレ、セールスポイントにおける日本との違い
日本のトイレ販売では「節水などの機能・使いやすさ・見た目(デザイン)・清潔さ(掃除のしやすさ)・耐用年数」などがセールスポイントであることが多いです。
毎日使い、よく掃除するので、使いやすさ・手入れのしやすさなどがセールスポイントになるのは自然な感じがします。見た目(デザイン)は、使いやすさ・手入れのしやすさを追求した結果でもあると思うので、日本のトイレは昔に比べて随分スッキリ、シュッとしたデザインになりました。
アメリカでDIYといえば、このお店Home Depotで展示されているトイレを例にセールスポイントを考えると、2つです。
- 水を流す時のパワーが売りのもの
- 一般的なトイレの高さに不満がある人向けのもの
ちなみに見た目のデザインに大きな差はありません。
「こんなに流せるぞ」
トイレが詰まった経験ありますか?
私は、カナダで1回、アメリカでも1回あります。カナダでは溢れて大惨事になりました。アメリカでは、ブワッと水面が上がりましたが、徐々に低くなり、悲惨な状況は避けられました。
カナダで詰まった時は英語も微妙だったため、パニックになりました。
個人的には、おかしな使い方をしていたわけではなく、しいて言えば「日本で使う時と同じように使っていた」のが失敗だったと後に判明するのですが…。カナダで詰まった後は、この体験がトラウマになり、かなり慎重に使うようになりました。基本的には、トイレットペーパーを自分がOKと思っている長さより、はるかに短め(少なめ)に使うと安心です。
それに、アメリカのトイレットペーパーは日本の製品に比べて、厚みがあるので短めで使っても大丈夫です。
外出先や空港は、藁半紙の薄い版みたいなペーパーのところも多いですが、お店で売っているものは、けっこう厚めが多いです。
日本のトイレットペーパーは薄いので、厚みを作るために長めに切り取ってしまいがちなのですが、アメリカで日本と同じように使うと、トイレ的には「紙多すぎだよ!」となります。
流すタイミングも重要で、気持ち早め&日本で使う時のタイミングよりも一歩手前くらいで流した方が、安全。流す時の音は威力があるのに、パワーそのものはない感じ。
トイレを流すと、渦巻きで奥に吸い込まれていくシステムは同じなのですが、奥に送られるその最後の威力が日本のトイレに比べると、弱いような気がします。最後に気を抜いてしまうトイレ。そのせいでトイレットペーパーが戻ってくることは多々あります。
しかし、まぁ、色々気をつけて使っていても、トイレットペーパーのボウル内着地点次第で、ちゃんと流れないことも多々あります。
勢いのいい水流に乗り損ねたというか、なんとういうか…
そんなアメリカでは、よく詰まらせてしまうご家庭が多いのか、店舗に並ぶ商品には「めちゃくちゃ流せます!」をセールスポイントにした商品があります。
そして、その基準が分かりやすいのか分かりにくいのか、微妙!です。
「1度でビリヤードの球が7つ流せる!」
まだビリヤードの球の大きさが分かる人口がそこそこあるという証拠。あと20年もしたら、ビリヤードの球では目安にはならないようになっているかも。
「1度でバケツ1杯分のゴルフボールが流せる!」
威力はなんとなくイメージできますが、実際に流すものではないので、なぜビリヤードの球やゴルフボールを比較対象に選んだのか、そこがイマイチ分かりません。
「ゴルフボール大に丸めたトイレットペーパー」なら、まだ理解できる。テストとして。
でも、これだとなんとなく詰まるような気がする…。
下の動画では、ゴルフボールを入れて流す様子を見ることができます。
…ただ、冷静に見ると、ゴルフボールと実際に流すものでは、形状・重さ・質感など…全て違うので、実際のところは分からないという…。また、流れることが当たり前のハズのトイレなのに(むしろ当然の機能)、それがセールスポイントになっているところも不思議です。
ですが!
実際に生活していると、水の勢いの割に流れが悪いな…というおトイレも多々あるので(特に外出先)、流れの強さは気になる人には気になるのかも。
日本でのおすすめトイレットペーパー使用量は、シングルで10枚重ね、ダブルで5枚重ね、だそうです。
参照:大王製紙(株)エリエール, “教えて!エリエール トイレットティシュー編”
背が高い人におすすめ
こちらは、欧米ならではのセールスポイント。
背が高い人向けの、トイレのボウル部分の高さが高めに作られたものです。
19インチとあるので、およそ48cmです!高い!これにシート部分を合わせると、実際に座った感じは21インチ程度になりそうです。
ちなみに、自宅のトイレの高さを計測したところ、ボウル部分までは16.5インチ(40cm強)でシート部分を合わせると18インチ(46cm弱)でした。日本のものと比べると、気持ち高いかなといったところ。
私が座ったら、確実に足が浮きます。
高さを売りにした商品は少ないので、ほとんどの人が標準的な高さで大丈夫ということだと思います。個人的には、もうちょっと低いと助かりますが。
女性よりは男性の方が一般的に身長が高いので、アメリカ人男性の身長を例に考えてみると、平均が5フィート9インチ(約180cm)。高いといえば高いけど、日本でも見かけなくはない高さです。
標準的なトイレの高さがこの身長前後を基準に作られているとすると、ほとんどの日本人にとっては、気持ち高いけれど、使うのが苦痛という高さではない感じです。
参照:health.com, “What Is the Average Male Height?”
トイレに流せると書いてあっても流してはならぬ、絶対に
ここからが本題の「絶対に流してはいけない物リスト」の詳細です。
そこまで書いておかないと流してしまう人もいるんだろうな…と様々な人種、バックグラウンド、生活様式の違いを抱える国家ゆえの事細かな一覧です。
実際、外出先のお手洗いでよく「out of order」の貼り紙を目にするので、おそらくビックリするようなものを流していたり、無理やり流そうとしたり、うっかり流してしまったりということが、しょっちゅう起こっているのではないかと想像します。
そこで、これが「絶対に流してはいけない」の一覧です!
- ◯◯ Wipesの全て(flushableと書いてあってもダメ)
- 綿棒、コットンボールなどのコットン製品
- 避妊具
- 生理用品
- おむつ
- デンタルフロス
- フェイシャルティッシュ
- 医薬品
- 猫のトイレ用砂
- ペーパータオル
- タバコの吸い殻
- コンタクトレンズ
- 髪の毛
- ガム
- 調理用油
- 魚
- 食べ物
- 漂白剤
事細かに書かれすぎてて逆に熟読してしまった一覧です。
“flushable”と書いてあっても流してはダメ
日本ではウォシュレットが普及しているので、Wipesというウェットティッシュ的なものを使う必要もあまりないと思われますが、アメリカではトイレットペーパー売り場には必ず一緒に置いてあるような商品です。
トイレットペーパーだけではスッキリしない時に、使ってね!的な商品です。一度、うっかり持ち帰るのを忘れたのか、職場のお手洗いにデンッと置かれていたのを見かけたことがあるので、一般的に広く使われている商品であることは間違いなさそうです。
トイレで使うことを想定している商品は、お尻拭き系だとは思いますが、メイク落としのワイプもダメと書いてあったので、ウェットティッシュ系は流せると思い込んでいる人が多いということかもしれません。
前に住んでいたアパートの管理人さんとトイレの話をしている時にも、「Wipesは流せると書いてあってもダメ、絶対ダメ!」と言っていたので、アパート管理をしている側にとっては、流してはいけないものNo.1製品として認識されているようです。
アパート(やコンドミニアム)などの高層ビルが特殊なのか、一戸建てはOKなのか、そこらへんは気になるところ。一戸建てだと、修理はしやすいだろうなと思いますが。
アメリカのアパート住まいの方で気になる方は、使わない方がいいかもしれません。
リスト全体を見て、思うこと
調理用油を流すなんて考えたことすらないのが普通だと思いますが、アメリカでもカナダでも、ちょくちょく、「トイレに流しちゃえば良くない?」といった考えを持った人々に出会います。
トイレは、とても強力でなんでも流せると思っている感じです。
住んでいる地域によっても違うと思いますが、調理用油の後処理がとても面倒くさいので、トイレに流して、なかったことにしちゃう人がいるのだと思います。
私のエリアでは、少量の油はペーパータオルに染み込ませて捨てるのは許されていますが、大量の場合は、ごみ処理センターに持っていくなどちょっと面倒です。
なので、家での調理は、揚げ焼きが基本になりました。
魚については、食べる用なのか観賞用なのか分かりませんが、魚の匂いはどちらかというと忌み嫌われているので、そういうところからも、流してなかったことにしようとする人がいるのかも。
危険物系は、きっと、ごみ処理センターや指定の場所に持っていくのが面倒なのだと思います。
たしかに、3ヶ月に1回とかでもいいので、近所で集めてくれたら助かるな〜とは思いますが、やってないんだからしょうがない。自力で持っていくしかない、とほとんどの人がそう考えると思いますが、そうはならないのが世の常。
過去にいろんなものを捨てるテナントに出会ってきたんだろうな…と想像してしまう一覧です。
なぜこんな膨大なリストになるのか?
理由は2つ考えられます。1つは、バスルームのデザインのせい、もう1つは、共通認識の違い、です。
あとは、外国に出ると遭遇する「そんなこと書いてないから知らないよ」と、言われるのを避ける目的もあると思われます。
とても流そうとは思わないようなものまで「流すなリスト」にあげられるのは、アメリカのバスルームデザインのせいではないかと思います。
日本だと、トイレとお風呂が別なことも多く、トイレで使うものはトイレエリアだけに収まることが多いですが、アメリカのバスルームは、トイレとバスタブ・シャワーが一緒になっていて、バスルームそのものが広いこともあり、色々な物を収納できるようにもなっています。
バスルームでは、メイクをしたり、お着替えをしたり、身だしなみを整えたり、薬を保管したり…と、あまりに広いのでイスやベンチも置けたりと、くつろぎスペースにもなっていたりします。
だからこそ、うっかり流しちゃう事件が発生しやすいのではないかと考えます。特にトイレットペーパーと似た感触のものは、危ない気がします。
モノによっては意図的以外に考えにくいものもありますが…。
集合住宅に住んでいると、自分はちゃんとしていても、他の住人がどう生活しているかなんて検討もつかないし、祈るしかないです。
また、日本人であればトイレットペーパーは流すものだと認識しますが、出身国によっては流さない家庭もあったりします。そんな彼らも外出先では普通に流しているのですが、自宅のトイレでは、どういう訳か流していけないと思い込んでいるみたいで、「え!流していいの!?」とビックリされたり。
トイレットペーパーでさえ、扱いにこれくらい差が出るので、出身国によって「流せるもの・流せないもの」の認識が違うのは当然かもしれません。
なので、お互いに同じルールで生活するためには、「そんなことまで!?」というくらい書き出さないと、ダメということですね…。
その他の不思議な注意書き
お手洗い利用については「流してはいけないリスト」以外にも、不思議な注意書きがあります。
例えば…
- 使用のたびに流すのを忘れないように。
- トイレのどの部分にも立たないように。
- タンクを第2のトイレボウルがわりに使わないように。
- 化学薬品のトイレボウル洗浄(青くする薬)を使わないように。これは、水洗のメカニズムにダメージを与えることが広く知られています。
1と2は理解できます。
1は、うっかり忘れることもあるかもしれません、人間だから。
2については、シート部分くらいしか立つ場所は浮かびませんが、私は実際に、シート部分に靴(両足)で乗っかっていた人を偶然に見てしまったことがあるので、「こんなことする人いないよ〜」と言えない…。
しかもドアは開けっぱなしで、お友達とおしゃべりしてた…。
でも、3のボウルの代わりにしないようにって想像もできないのですが、どうやって使うんだろうか…?
そして、4。たしかにアメリカでトイレの水が青いのは外出先で1度しか見たことがありませんが(紫だった気もします)、ダメージ与えるんだったら、販売してはいけないのでは…?
これまでに3つのアパートで生活しましたが、正直に言うと、メンテナンスのレベルは満足とは言い難いです。
最初のアパートは、バスタブの水の流れがめちゃくちゃ悪かったので、メンテナンスをリクエストしました。あまりに昔の出来事なので、詳細は覚えていませんが、リクエストからメンテナンスまで数日待ったような気がします。
次のアパートでは、メンテナンスしてくれる人が、マネジメント兼務だったので、同じ敷地内で生活していて頼りになりました。立ち位置的には「いつでも連絡できる器用な家族」みたいな感じ。基本的には、この管理人さんが直してくれましたが、管轄外のもの(ガスまわり)は違う人が担当していました。
どのアパートでも、メンテナンスを依頼する内容は、圧倒的に水回りのことが多いです。そして、いずれのメンテナンスも完璧からちょっと下がったレベルで仕上がります。なぜなら、配管工を専門としている訳ではないからです!
言うならば、家族の誰かがちょこっと手直ししているような感覚です。違いというと…回数をこなしている分だけ、手慣れてはいます。
いつも今ひとつな仕上がりなので、自分でやりたくなってしまいますが、賃貸物件なので下手に手を出すと責任を負うのはどちらか、という問題になるので依頼する方が安全…。
古いアパートの場合、水回りの修理をする時は、修理内容によっては建物全体の元栓を閉める必要があるらしく、ちょっとした蛇口の緩み程度だとなかなか直してくれません。
そして、過去イチで最悪だったメンテナンスは、コーキングをトイレに捨てられたことです。
トイレで見つけたコーキングのゴミのことは、マネジメントに報告しました。これが原因で詰まっても私たちは責任を取れないので。
同時に、メンテナンスをした本人にも「これはダメっしょ」と話したら、「大丈夫、コーキングは流れるから!」「忙しくて捨てちゃったんだよね!」と全然、反省してなくてビビりました。
flushableと書いてあっても流すな!とルールを作るくらいなのに、コーキングはOKとは意味が分からない。OKなハズない。
そういうわけで、こういうメンテナンスの人もいるので、不在中にメンテナンスを依頼する時は気をつけてください。
アメリカのアパート・トイレ利用における心構え
- みんなが自分と同じように使っているとは思わない。
- 「流せる」と書いてあっても、流さない。
- メンテナンスを依頼する時は、できれば部屋に残る。
日本とアメリカは色々違うということを改めて認識することが大事。
多少の差はありますが、日本の生活様式もかなり洋風が取り入れられており、うっかりするとアメリカにいながらも、日本と同じように暮らしてしまいそうになります。
トイレも同じ、シャワーも同じ、椅子に座るのも同じ…でも、中身(というか、クオリティ)が違う!
シャワーの水圧も恐ろしく弱いです。慣れれば水圧が弱いことを忘れてしまうのですが、日本へ旅行して戻ってきた時なんかに水圧の弱さを実感します。
カリフォルニアは、1分間1.8ガロン(約6.8リットル)と決まっています。感覚的には、強めな雨といった感じ。体にへばりついた髪の毛はすぐには流れていかないです。
出てくる水量が決まっているので、すすぐのに時間がかかり、シャワーの時間が長くなって全く節水になっておらず、本末転倒になっているような気もしなくはない。
同じようにトイレも見た目は全く同じですが、色々細かいところで違います。高さも違うし、トイレットペーパーの設置する場所もかなり微妙なところが多いし、流す時の音は立派なんだけど、なんか流れてないし、やたら水が飛び散るし。
同じように見えるけど、けっこう違う。特に、水流・水圧。トイレを流すときは、トイレを労わりつつ、早めに流すように心がけるといいです。
参照:Los Angeles Times, “California will soon have toughest shower head requirements in nation”